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AIに仕事を任せる前に知っておく10のこと
はじめに
AIを使い始めた頃、いちばん時間を食ったのは、使い方を覚えることではありませんでした。
「これをやらせて平気なのか」が分からなくて、手が止まっている時間です。
ここに並べた10個は、その止まる場面を1つずつ潰していったものです。
人から聞いた話は、自分のパソコンで動いたものだけ残しました。動かなかったものは書いていません。
ぜんぶやらなくていいです。1番目と4番目だけでも、明日から変わります。
1. 失敗しても「戻して」の一言で元に戻る
AIに作業させるのが怖い、の中身はたいてい「壊したらどうしよう」です。
でもClaude Codeは、作業のたびに戻り先を自動で作っています。画面の下に出る緑と赤の数字がそれで、緑が足した分、赤が消した分です。
どこに戻すかを自分で選ぶ必要はありません。「戻して」と言えば、AIが適切な地点を選んで戻します。
私はこれを知るまで、触るのが怖くて小さい作業しか頼めませんでした。
やり方
- 何か作らせる
- 気に入らなければ「戻して」と打つ
- 画面の下の緑と赤の数字で、何が足されて何が消えたかを見る
2. 「破壊的検証をして」と打つと、AIが自分の答えを本気で否定しにかかる
AIに「これで合ってる?」と聞いても、たいてい「合っています」と返ってきます。
同じ会話の中にいるAIは、一緒に作った結論を持っているので、身内になるからです。
そこで、議論の中身をファイルにまとめて、新しいチャットを開き、そのファイルに対して「破壊的検証をしてください」と打ちます。
前のやりとりを知らない相手は他人なので、粗探しの目で読みます。否定しきれなかったとき、初めてその結論を信じます。
やり方
- 議論の中身をファイルに書き出す
- 新しいチャットを開く(同じチャットの中では効きません)
- ファイルを渡して「破壊的検証をしてください」と打つ
3. 「親の命がかかってます」と足すと深く考える。ただし使う場面を選ぶ
教わったとき、冗談かと思いました。
でも実際に足すと、出力は遅くなり、その代わり考える量が増えます。なぜそうなるのかは、AIの中を見られないので分かりません。教えてくれた本人も、推測だと言っていました。
大事なのは使い分けです。これが効くのは考えさせるとき、つまり判断や設計や企画のときだけです。
大量のファイルを調べさせるような、手を動かすだけの作業では意味がありません。
やり方
- 判断を伴う相談のときだけ足す
- 出力が遅くなるのを待つ
- 調べ物には使わない
4. 「ごめん」と言うより「訂正です」と言うほうが、返ってくるものが変わる
言い間違えたとき「ごめん、やっぱりこっち」と打つ人は多いです。私もそうでした。
でも「ごめん」は気持ちの言葉で、AIにとっては中身がありません。
効くのは「さっきの指示は取り消します」「前ではなくこちらが正しい」という、上書きの合図のほうです。
優しさは人に向けて、AIには情報を向ける。それだけで返ってくるものが変わります。
やり方
- 「ごめん」で始めない
- 「訂正します」と先に言う
- 何を取り消して、何に変えるのかを書く
5. 新しいチャットを開いても、設定はやり直さなくていい
「チャットを変えたら、また最初から設定するの?」という不安があります。
ほとんどの場合、やり直しは要りません。接続の情報も、名義の設定も、チャットごとではなくパソコン側に保存されているからです。だから新しいチャットでも自動で引き継がれます。
「設定が必要」ではなく「もともと使える状態だった」のを確かめるだけ、という場面が多いです。
やり方
- 新しいチャットで、まず今できることを聞く
- 足りない分だけを足す
- 毎回ゼロからやり直さない
6. 画面を2つに割るだけで、AIとの往復が減る
片側にAI、反対側に作っている実物を並べます。
直したものがその場で目に見えるので、「こうなりましたか?」と聞いて返事を待つ時間が消えます。
反映されていないのか、指示が伝わっていないのかも、自分の目で切り分けられます。
言葉で説明しようとして失敗する、が起きにくくなります。
やり方
- 画面の左にAI、右に実物を置く
- 直すたびに実物を読み込み直す
- この配置を毎回の初期状態にする
7. AIに作業させたら、別人の名前で記録が残っていた
私が実際にやった事故です。
AIに作業させたところ、公開される記録に、意図していない個人用のアカウント名が残っていました。
原因は、名義を指定していなかったので、AIがパソコンに元から入っていたメールアドレスを使ったことです。
AIは、指定がないとその場にあるものを使います。表に出す名義は、先に決めて全体の設定に入れておく。
やり方
- 作業を始める前に、全体の設定で名義を確認する
- 表に出す用の名義を、専用に用意する
- 公開される記録を、最初の1回は自分の目で見る
8. AIのチャットは、ブラウザのタブのように何枚でも並べられる
1つ頼んで、考えている間、待っていませんか。
チャットの画面は、外に出すと複製できます。大きい画面に何枚か並べて、全部に指示を出し続ければ、待ち時間がなくなります。
キーボードで打っていると結局1枚ずつになるので、音声入力と組み合わせるのが要です。
何枚まで並べられるかは環境によるので、自分で試した枚数で回してください。
やり方
- チャットの画面を外に出す
- 必要な枚数だけ複製して並べる
- 声で順番に指示を出す
9. キーボードをやめると、AIに渡せる情報量が増える
私は音声入力にTypelessを使っています。
今ある中ではいちばん精度が高いというのが、使っている私の実感です。性能を測った比較ではありません。
効くのは変換の精度です。前後のつながりを読むので、専門用語や固有名詞が崩れにくい。
打つのが遅くて指示を短く切っていた人ほど、変わります。
やり方
- 音声入力の道具を1つ入れる
- 長い指示ほど声で出す
- 専門用語がどれくらい崩れるかを、自分の言葉で試す
10. 本を読む目的が変わった。自分でやるためではなく、AIに指示を出すために読む
分からない言葉があると、そもそも質問が作れません。これが本当の壁です。
だから本は、全部を理解するために読むのではなく、引き出しを作るために読みます。
「これを見ておかないといけないんだな」が分かれば、あとはAIと一緒に考えられます。
分からなかったところは、その本ごとAIに聞けばいい。1周で完璧に理解する必要はありません。
やり方
- その分野の本を1冊決める
- 分からない言葉に印をつけながら読む
- 印をつけたところをAIに聞く
おわりに
この10個に共通しているのは、AIを賢くする話ではなく、こちらの渡し方を変える話だということです。
AIは指示された以上のことをしませんが、指示された分はやります。渡し方を変えると、返ってくるものが変わります。